カスパル=フォン=ベルグリーズについて語りたい

このブログはファイアーエムブレム 風花雪月というゲームに登場するカスパル=フォン=ベルグリーズというキャラクターの限界オタクである一プレイヤーが、推しであるカスパル=フォン=ベルグリーズについてただ語るという、それ以上でもそれ以下でもないブログです。次第に他のことについても語るかも。

一生好きだ!カスパルにとっての主人公とは?

 ファイアーエムブレム風花雪月の主人公は、士官学校の教師である。所謂マイユニットで、デフォルトネームはベレト、及びベレス。勿論生徒たちにとってとても大きな存在であり、主人公が担任を担当しなかった学級の生徒たちにとってもそれは変わらない。カスパルはというと、他の生徒たちと比べて比較的依存度は薄いようにも思える。例えば紅花の章で五年後再会した際には「俺たちは翼を得た!」と喜んでくれるが、反対に彼が主人公と敵対した際の戦闘会話は「あんたとエーデルガルトは分かりあえると思っていたが、そうはならなかった」と少し残念そうに語るのみ。エーデルガルトの道を行くカスパルエーデルガルトの正義に殉じる道カスパルであるため、先生の存在は自分以上に「エーデルガルトに必要な存在」として見ているのだと思われる。「先生がいなくなってからのエーデルガルトはめちゃくちゃ荒れていた」という恐れ知らずの発言もそれを示している。それはそうとこんなこと言えるカスパルほんと怖い。

 前回触れた女神の塔イベントでは「先生を見かけたから追っかけてきた」、紅花ルート分岐直後のイベントでは「先生が走ったからつい追っかけてしまった」、考えるよりも前の段階でカスパルが先生を求めている描写はあることにはある、だが彼の女神の塔イベントは他の生徒たちと比べてあまりに甘さに欠けるものであるし、銀雪の合流の時にはあろうことか先生(及び仲間)とかわした約束のことをすっかり忘れてしまっている。流石にどうかと思う。元よりカスパルはどちらかというと一人で生きていけるタイプなのだろう、先生がいたら嬉しいけど、先生がいないだけで足元がぐらつくような脆さはない、それがカスパルなのである。そもそも先生と共に過ごした時間は僅か一年程度なのだから異常に先生にクソデカ感情をぶつけてくる生徒よりはその方が自然な気もする。

 

 とはいえ、カスパルと先生の二人だけで展開される支援会話ではそれなりにカスパルにとっての先生が大きくなっていく過程が見られる。本日のテーマはこちら。

 

カスパルと先生の支援会話について語りたい

 

 ずばりそのまんまである。主人公との支援というのは、基本支援相手の生徒のキャラクター性をより掘ってくれるものに仕上がっている。ストーリー上では主人公は言葉を話すことが無いので、生徒同士の支援会話と比べてより重点的に対象の生徒を掘ってくれるのだ。賑やかで明るい彼らしさが目立つカスパル支援会話において、先生とカスパルのそれは珍しくもシリアスベースで展開されていく。早速その内容を追ってみよう。

 

 

「何でだよ、先生! オレもあんたも悪くねえだろ! ほっといたら、子供たちが危なかったかもしれねえんだぞ!」 

 

 支援Cでは主人公が怪しい人間を観察しているところにカスパルが合流するところから始まる。主人公の話を聞いたカスパルは早速怪しい人間を捕まえようとするが、主人公は「様子を見よう」とカスパルを諫め、カスパルはそれに反発。問答を繰り返すうち、怪しい人間のいる道の先に子供の集まる広場があることに思い至ったカスパルがいよいよ飛び出すと、怪しい人間が自決してしまうという話。その後カスパルはセイロス騎士に「君のせいで自決した人間から彼の組織の情報を落とすことが叶わなくなった」と責められるのだが、カスパルは自身を庇う主人公に上記の台詞を吐いて走り去ってしまう。

 カスパルが飛び出したのは、なんだかんだ言って「子供に危険が及ぶかもしれない」と思い至ってからのこと、何も考えなしに飛び出したわけではないことが描写されている。その後今回の件でカスパルは思い悩むことになるのだが、少なくとも間違っていると思うことは間違っていると臆せず言えるカスパルはとても素晴らしいと私は思う。カスパルは第二部でもとある場面で主人公に「それは違う」と物申す場面があり、「自分の正義は譲れない」という彼の性格が強調される場面として印象に残っている。

 しかし、何はともあれ第一部のカスパルはやはり未熟な所が目立つのだ。思えば初期値の低さもそういった面を表しているのかもしれない。エーデルガルトからは「目を話すべきではないトラブルメーカー」と扱われているし、ヒューベルトやフェルディナントなどの支援会話でもそういった面は指摘されている。カスパルが今度の件で「自分に非があったかもしれない」と考え直せるのは五年後の話だ。

 

 

「俺のやり方が間違ってたんだろ? そう言ってくれよ、先生」

 

 支援B、第二部になってようやく解禁されるこの支援では、カスパル支援Cの時の事件で思い悩んでいたと先生に告白してくれる。偶然にも主人公はこの時、五年前の例の怪しい人間、不審者が体に入れていたのと揃いの刺繍を入れた盗賊が行軍中の自軍の騎士達を襲撃、騎士の中に死傷者が出てしまったという報告を受ける。「五年前に俺が大人しく先生の指示に従っていれば、この盗賊集団はその時に潰すことができていた」、今回の犠牲は自分のせいだとカスパルは言う。上記の台詞はこの支援の最後の最後の言葉である、支援Bはこのように非常にビターな引きを見せる。

 カスパル自分が間違っていたかもしれないと考えるようになったのは、戦場に出るようになったからだという。明確な成長の形がここにはある。選択肢によっては、主人公は「あの時カスパルが飛び出さなければ、子供に危険が及んでいたかもしれない」と言う、どちらにせよやはり主人公はカスパルを庇うのだが、カスパルは「気休めはいい」「子供たちに危険が及んでいたかはわからないが、騎士が死んだのは事実だ」と言って上記の台詞につながるのだ。五年前のカスパルには盗賊を泳がせるという発想が無かった、その点で「そちらの方が正しかったかもしれない」と考えられるようになることは確実に良い成長だと言える。だがカスパルはここで「俺が間違っていたと言ってくれ」と先生に頼むのは、逆に言えば「自分では自分が間違っていたと認められない」ことの証である。今でもカスパル子供を見捨てるような選択肢は正解だと認めたくないと思っているのだ。同時に、そのような考え方をしていてはダメだとも思っている。だからカスパルは、他でもない先生に自分の考えを否定してほしいのだ。

 支援Bで、結局先生はカスパルを否定しなかった。故にカスパルは、自分でこの問題に決着をつけなければならない。彼はどのような答えを出したのか、二人の物語はいよいよ支援Aに移る。

 

 

「もしあの怪しい男が子供たちを傷つけていたら......オレ、一生悔やんでも悔やみきれねえ」

 

 支援A。五年の成長を経て、悩みに悩んで彼が出した結論は、「やっぱり自分を裏切れない」。カスパルの根っこ、彼の正義は学生時代の頃にしっかり完成していたことが示される場面だ。自分を叱った騎士や自分を止めた先生の行動が理に適っていると分かってなお、自分の正義を曲げない。その為に失った仲間をも割り切って、カスパルは正に己の正義を確立したのだ。

 しかしカスパルは成長に伴って己の決断に責任が伴うことを理解している。故に、

 

「こんな危ねえ奴、軍に入れられねえよな。だからオレ、出てって......」

 

 軍を出る覚悟を固めていた。自身の正義を追及して、軍規を守れないかもしれない、味方に被害を出すかもしれない、だから自分は出て行かなければならない。カスパル自分の中で「正義を貫く=軍を出る」と認識していた。そしてここで「先生とずっと一緒に戦っていきたい」とも語っている。ここをおさえると支援Bで彼が主人公に自分を否定してほしかった理由も見えてくる。「先生がオレを否定してくれたら、オレは先生に従って一緒に戦っていける」。

 支援Bの段階では、カスパルは恐らく自身の正義よりも主人公と共に戦うことを望んでいたのだ。勿論そんな簡単な二元論ではない、自分が間違っているのなら、間違ったその認識が正義であるとは言い切れないだろうし、カトリーヌとの支援を通っていれば「先生こそが自分の正義だ」と見ることもできただろう。要は当時のカスパルにとって「先生と一緒に戦っていくには、先生にオレの正義を否定してもらうことが必要」だったのだ。

 結局主人公は「それで構わない」「それを使いこなすのも自分の務め」と、さも当然の様にカスパルの正義を受け入れカスパル生き方を認めてくれる。あまりに悩んでいた分、そのあっさりとした解決にカスパルはひどく気が抜けるのだが、なんにせよこの後もカスパルは主人公と共に戦えることとなってハッピーエンド、というお話でした。

 

 

 この先、ベレト先生解禁禁止の支援Sのお話。

 

「オレからも、言わせてくれ。結婚しよう」

 

 キャーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!

 ドストレートなプロポーズが堪りませんな!!

 しかしカスレスの支援S、結婚を先に申し込むのはベレス先生の方である。大体の支援Sがそうである気もする。

 

 真面目に解説しよう。

 カスパルとの未来を望んだベレス先生は、全てが終わってから女神の塔でカスパルを見つける。カスパルがどうしてこの場にいたのかは分からないが、ともかくこの時の彼が暇なことが分かる。「なんでここにいんだよ!」とカスパルから問われ、「カスパルから目が離せなくて」というあまーーーーーーーーい選択肢を選ぶとカスパルは「別にいつもやらかしてるわけじゃねえって」と甘くない返答。うーーーーん......

 その後「さてはオレに会いに来たんだろ」とあまーーーーーーーーい俺様系の台詞がカスパルから飛び出すのだが、その後彼が続けるのは「何だ? 鍛錬か? それなら訓練場に......」うーーーーーーん......

 

 ベレス先生も業を煮やしたのかもしれない。ここで唐突に「結婚しよう」と告げるのだ。注目のカスパルの反応は「おう......」とだけ呟いて暫く沈黙が場に流れるのだが、その後しっかりと、もの凄く喜んでくれる。意味をはき違えることもない、明確な好意も示してくれる、正直プロポーズ以後のカスパルの台詞はとても、とても悪くない

 最後はカスパルらしく、しっかりとオチがついて笑顔のままに終わる支援S会話、後日談でも賑やかな様子が伝わってくる。ベレスが王になろうが大司教になろうが連れまわして振り回すというのだから相変わらずである

 さてこの支援Sの要注目ポイントをもう少し掘っていきたい。

 

「あんたとこういうふうになったらいいなとか思うことはあったが......」

 

 カスパルはベレスとこういう風になったらいいと思っていたことがあった!!

 衝撃スクープである。思えば昨日ドロテアとの支援会話に触れた際、「恋愛観の核心に迫ってくれる」と書いたが、肝心の核心がなんなのかあまり書かなかった気がする。

 はじめこの支援Sを見た時、自分の中ではある違和感があったのだ。「カスパルの性格なら、好きになったら好きと潔く告白するのでは?」と。しかしカスパルはベレスと男女の中になりたいと思いながらもその心を秘めていた。システム上の都合かもしれないとも思った。「考えたこともなかった」「考えるまでもない」というセリフは、もしかしたら「自分では彼女の夫にはなれない」という意味であったのかもしれない。

 これ、カスパル、恋愛に関してはヘタレ気味なんじゃない!?

 ドロテア相手にもそういう節があると昨日書いた、それ以上にこの支援Sの描写は明確なんじゃないかと思う。支援Aではカスパル勝手に先生と共に戦う道を諦めてしまっている、やはり彼にはどうにも諦め癖があるのだ。彼が諦めるのは努力でどうにもならない事柄、この支援Sにおいては、自分ではどうにもならない程に大きくなってしまった、皆にとって大切なベレスの存在を思っての諦めだったのだろうか?

 支援Sを迎えるルートではカスパルにとっての初恋がベレスであってもおかしくない。恋愛に単に不慣れで不器用な、カスパルのそういった側面が彼を控えめにさせるのだとしたらそれはそれでとても愛おしい。ああ、今日も推しが愛おしい。

 

「オレは、あん時に誓ったんだ。心の中でな。この2本の腕で一生、あんたのこと、守って見せるって」

 

 あん時というのは、支援Aでベレスがカスパルの生き方を認めた時カスパルはこの瞬間に恋に落ちたのだろうか、カスパルの方は告白する気はなかったようなので、単に恋愛感情ではなくどういう形であっても一生守っていくという意味だったのかもしれない。支援Aを経て支援Sを迎えない場合カスパルは一人で、ないし相棒を連れて世界中を旅してしまったりすることもあるのでこの発言はどうにも怪しいが、まあ尊い事には違いないので細かいことはどうでもいい。なんなら「世界中のどこにいても、アンタが困ったときは俺が守る」というのもそれはそれでエモい

 

 

 結局、カスパルにとっても主人公が大切な存在であることには違いが無いのだカスパルは主人公との支援を経て大きく成長を見せるし、カスパルの自己をしっかりと確立していく。恋愛的好意をカスパルが示すシーンはベレスとの支援Sをおいて他にはかけらもない(強いて言うなら、シャミア支援のカスパルの台詞はそう見れなくもないものもあるし、それより要素では劣るがドロテア、カトリーヌとの支援でもそう見れなくもないシーンがある)のでそういう意味でもカスパルと主人公との絡みは非常に貴重。全編通してカスパルにとって頼れる存在として描かれていたベレスが支援Sで色々と砕けるシーンはとても可愛いので、皆さんも是非一度カスパルと主人公の支援、及びカスレス支援Sを見てほしい。

 

おまけ......カスパルと悩み

 

 カスパルは非常に悩みがなさそうなキャラクターである。しかし主人公との支援の他にも、父の参加したかつての戦いの影響など悩みの一発一発がデカいので案外悩んでるシーンは多いのだ。軽い物では身長について悩んでいる描写もあったりするが、やはり「悩んでいても仕方がねぇ」というスタンスであるのは確か。アネットとの支援ではカスパルの方がアネットの悩みを解決する側に回るのだが......結果アネットがたどり着くのは「悩んでるのが馬鹿らしくなってきた」。カスパルらしさが全面に表れた場面である。