外伝だけじゃない?カスパルと死神騎士の因縁
今まで10回にわたり我が推しであるカスパル=フォン=ベルグリーズについて、様々な角度から語ってきた。本日は遂に彼の外伝をテーマに推し語りしていこうと思う。
外伝とは、風花雪月に登場する各ユニットを更に掘りさげてくれる、支援会話に並んで重要な要素の一つ。シルヴァンやローレンツなど一部の生徒を除いて二人一組で取り扱われており、その多くが、片方の生徒の家の問題の解決などにもう片方が協力するという形になっている。
例えばフェルディナント・リシテア外伝ではフェルディナントの父の目撃情報が入ったのを機にエーギル公救出へ向けて軍を動かすことになる。ドロテア・イングリット外伝ではイングリットの縁談相手の素性を知っていたドロテアが彼女を守るために奮闘するという流れ。
カスパル・メルセデス外伝は前回触れた通りメルセデスの弟である死神騎士・エミールを巡る話となっており、姉弟のドラマを描く役割を果たしている。ならカスパルは蚊帳の外なのか、この外伝のメルセデスの相方はカスパルじゃなくてもよかったのか。私はそうは思わない。全てはこの外伝に向けての演出だったのかは定かではないが、本編の随所随所でカスパルと死神騎士にもまた奇妙な縁が描かれているのだ。
ということで本日のテーマはこちら。
カスパルと死神騎士について語りたい
勿論外伝そのものについても思う存分語っていくつもりだ。
「いやー、イエリッツァ先生って強そうだよな」
「イエリッツァ先生には敵わねえけど......あんたになら勝てそうな気がしねえか?」
まず初めに触れるのは、主人公が教師になると決まった後の散策会話。ここでカスパルはイエリッツァこそが一枠空いた担任の枠に就任すると思っていた、と語ってくれる。彼は向こう見ずの負けず嫌いのように見えて「絶対に敵わない相手には自分が劣っていることを認められる」性質を持っており、彼の父と同様にこの時点でイエリッツァのことも「自分では勝てない相手だ」と認めていることが分かる。前回「メルセデスのイベント解禁にカスパルが必須であることのヒントは本編にはない」と書いたが、ある意味ではこの発言は伏線になっているのではと思わないこともない。「敵わないと諦めていた相手に、努力を続けて成長して真正面から戦って、そして勝つ」というのは激熱シチュエーションだ。でもこれがヒントだとは認めない、絶対にだ。
ちなみに上記の台詞だけでは「先生には勝てると思ってるんだ!」と思われるかもしれないが、この台詞を受けて主人公は「(カスパルが自分に)勝てる」「勝てない」の二つの選択肢を取ることができ、「勝てない」を選ぶと「そっか......そうかもな。だけど、いつか超えてやるぜ!」とカスパルも反発する様子が無く、寧ろ好感度が上がる。「勝てる」を選ぶと「本気かよ!?」と驚いてくれるので、カスパル的には主人公もこの時点で自分より格上だと認識していることが分かる。
「おい! 来てくれ! イェリッツァ先生の部屋から女性の悲鳴が聞こえたんだ!」
次に失踪したフレンを探すことになる章、「死神の噂」。ここでは戦闘開始前のムービーで少しカスパルにスポットがあたる。黒鷲ルートにおけるこの章の戦闘直前のムービーで姿を見せる生徒はエーデルガルト、ヒューベルト、そしてカスパルのみ。上記の台詞は節末までイエリッツァの部屋を訪れなかった場合にのみ聞けるレア台詞、フレン救出の突破口を開くという大役が与えられている。とはいえいざ姿を表した死神騎士と会話があるわけでもなく、戦闘会話が用意されている訳でもなく、「ちょっと目立ってるな~」くらいのものである。
第二部において、青獅子と金鹿ルートでカスパルをスカウトしなかった場合、カスパルと死神騎士(とリンハルトも)は同じマップで姿を現すことになる。戦闘開始前に死神騎士のムービーが挿入され、そこに幼馴染二人も姿を見せるのだ。特に金鹿の方では死神騎士の「あの男(女)......来るか......」という台詞に「ん、誰のこと......まさか、先生か!?」と反応している。会話している。差分の都合もあってか死神騎士からカスパルへ言葉をかけることはないが、外伝以外ではいや外伝含めても貴重な二人の絡みであると言える。
とまあ、このように、外伝を除いても二人には浅からぬ縁があることが分かっていただけたと思う。え? 十分浅い? うるせえ!!
どうせ本題はここからだ! 続いてカスパル・メルセデス外伝「死神の噂」について語っていこう。
変わらないカスパルらしさと武人としての成長、大人のカスパルの魅力あふれた外伝
「帝国最強の死神騎士! お前を倒して、俺は強くなる!」
この外伝は「のんきにおしゃべり」してた先生とメルセデスの元にカスパルが死神騎士の噂を持ってきたことから始まる。弟の襲来に冷静さを欠くメルセデスをカバーするように動いており、焦って飛び出そうとするメルセデスに主人公が「今は冷静に......(戦闘の準備できてないから待って)」の選択肢を取ると、自身も冷静でいられるものかと返そうとする一方で「相手はあの死神騎士だから確かに準備は必要だ」とメルセデスを諭したりもしている。戦闘が始まるまではいつになく頼りになりそうな振る舞いを見せるカスパルであるが、いざ戦闘マップに入ると......
『死神騎士は戦闘に加わる気がないようです』
『しかし、カスパルは死神騎士との交戦を望んでいます』
なんでやねん。
相手は敵将死神騎士、カスパル視点では殺すのは当然ではあるがメルセデスから「知り合いだから殺さないでほしい」「そもそも死神騎士には戦う意思がなさそうだし、仲間と合流して周りの帝国兵を倒せば退いてくれるかも」と説得されても「俺、あいつに挑みてえんだ!」「退いてくれるとしても、戦えねえかな?」と完全に戦いに愉悦を求めている。その後も増援に怯えるメルセデスの側で「俺の戦果稼ぎ要員の間違いだろ?」と、流石カスパル外伝、ノリノリである。いざ死神騎士とカスパルが対面した際の上記の台詞は中々にカッコイイが、命懸けの戦場には少々そぐわないこともあってか「......フ、単純な奴だ」と死神騎士からは笑われてしまう。
死神騎士=イエリッツァである、思えば本編中に描写はないが武術師範としてのイエリッツァにカスパルもお世話になることがあったはず。かつての教え子であるカスパルの成長した姿にイエリッツァも思うところがあったのかもしれない、口を開けばとにかく物騒なことと悲しい事ばかりの死神騎士がこのように笑うのは中々にレアな姿である。
ただこの外伝通して思うのは、どうにもカスパル、死神騎士=イエリッツァであることを知らないんじゃないか? 流石に知る機会はあったにしても、そんなこと忘れてるんじゃないか? 死神騎士をイエリッツァとして見ると、カスパルのこの外伝での言動は色々違和感を感じずにはいられないので、そんな疑問も抱いてしまう。
「やだね! あんた、メルセデスの弟なんだろ? 久々に会った姉ちゃんになんかねえのか!」
帝国軍との死闘を切り抜けたカスパルとメルセデスは、奥に逃げた死神騎士を追うことになる。メルセデスの怪我を気にかけたり、彼女の気持ちを察して一緒に追おうと提案したり、戦闘後のカスパルのムーブはなかなかにカッコイイ。
しかしいざ死神騎士と再会した後のカスパルは姉弟の会話に水を差しまくる。感傷に浸っているメルセデスの隣でゴーイング・マイ・ウェイ、死神騎士からも遂に「口を挟むな」と言われてしまう始末。浮きまくっているので仕方がない。
ただカスパルもカスパルでただ空気が読めないというわけではなく、死神騎士から黙れと言われても黙れない意地があった。カスパルは兄との兄弟仲は良好、ここまでのメルセデスの言動で彼女が弟をいかに大事に思っているかも痛いほど分かっていたので、死神騎士がメルセデスと正面から向き合わないことが許せなかったらしい。少々空気が読めない発言の様に見えても、「やだね!」と啖呵を切って兄弟愛を説くカスパルは私はとてもカッコいいと思う。彼の説教が影響してか関係ないかは分からないが、死神騎士はその後エミールとして不器用ながらメルセデスを心配する言葉を告げ、彼女に英雄の遺産を託すことになる。
「貴様なら、扱えるかもしれん......」
さてこの外伝、通常ならメルセデスが英雄の遺産、「ラファイルの宝珠」を受け取って終わりなのだが、カスパルで死神騎士を打ち負かすことに成功しているとなんと死神騎士から彼愛用の武器「サリエルの大鎌」を託されるという追加イベントが入る。死神騎士がカスパルの実力を認め、「自分が殺すその時まで、メルセデスはお前が守れ」と伝えて去っていくのだ。この場には彼が執着する主人公も存在するのにカスパルにそう伝えている辺りも地味に凄い。このやり取りがあるとないとではこの外伝の印象も段違いなので、是非ともカスパルで死神騎士を撃破しよう。そしてカスパルで死神騎士を倒すのはなかなかに難易度が高いし、そもそも二人が軍から隔離された状況で始まる難易度が高い外伝なので、第一部の段階からカスパルはしっかり育てておこう。
前回記した通り、この外伝を青獅子ルートでクリアすると、後の本編でメルセデスとエミールの別れを描いたイベントが解禁される。おまけにカスパルでの死神騎士撃破に成功した場合は、後に本編で戦う死神騎士はサリエルの大鎌を持っていない、という変化も起こる。
カスパルはカスパルで紋章を持たない為に英雄の遺産や神聖武器のような準専用武器がないので、サリエルの大鎌を持たせて運用するのはとってもエモい。しかし何を間違えたのか、サリエルの大鎌は槍の技能がA以上でなければ扱えない。や、槍......。カスパルの得意技能は斧と格闘、普通は槍を鍛えないが、このサリエルの大鎌を目当てに槍術を鍛えると言うプレイも面白いだろう。
不満点
さて、本日はカスパルの外伝を中心にカスパルと死神騎士の関係について探っていった。しかし、この周りの話で私は不満に思っていることもあるのだ。今回は思い切って(今までTwitter等で何度か言ってはいたけども)その不満点をも書いてしまおうと思う。具体的に言うと......
なんで死神騎士とカスパルの支援が成立しないの!!!
あってよくない!? あってよくない!?
死神騎士はDLCで自ユニットに追加されたキャラクターではあるけど、ちゃんと後からコンスタンツェやベルナデッタとの支援会話追加されてたよ!? カスパルは灰狼組との支援会話の追加もなかったし、ベルに追加するんならカスパルにもくれてよくない!?
外伝を経てからの本編での直接対決でも敵対会話はないし、もっと、もっと死神騎士とカスパルの関係は公式で推してほしかったですねぇ!! 推してくれても良かったと思う!!
あとメルセデスとカスパルの支援も成立しないんです。外伝コンビではフェルディナントとリシテア、リンハルトとレオニーも支援会話はないし、バランスを考えても「支援会話が成立しないコンビで外伝を起こす」っていうのは悪くないとは思うんです。メルセデスとの支援があった世界線ではアネットとの支援が無かったかもしれない、アッシュとの支援がなかったかもしれない、それはそれで嫌だしね。
でも「俺が殺すまでお前がメルセデスを守れ」はやりすぎじゃない!?
公認じゃん!! 弟公認じゃん!! そこまでされると欲しくなっちゃう!
改めて思うんですけど、カスパルとメルセデスの絡みなかなかにいいんですよね......いいんですわ......支援やペアエンドがあったらカプとしてめちゃくちゃに推せてたのに......
ここら辺、追加DLCとか何らかの展開で、どうにかなりませんかね......ダメですか?
本気で怒ってるわけではないですけど、追加されたら泣いて喜ぶのでお願いします!!
不満で締めるのもあれなので最後にもう少し。
サリエルとは「死」を司る大天使の名前である(Wikipedia調べ)。大鎌で死者の魂を狩ると言われており、「サリエルの大鎌を担ぐ死神騎士」というのはとても原点のイメージに合っている。
じゃあそんな武器をカスパルに持たせるのはどうなの? ギャップがいいじゃんね?
カスパルは死神騎士とは対照的に明るく元気で太陽のような男。しかし同時に味方ユニットの中でもトップクラスに人を殺すことを厭わない男でもある。必殺台詞は「その首寄越せ」だったり「死ぬ覚悟はあんだろ?」だったりするし、戦果を稼ぐことに拘りを持っている以上彼が戦場で重ねる骸は一つ二つじゃ収まらない。
彼の大声は戦場で目立つ、戦場で戦い生き残れば生き残るほど、その存在感も危険性も、彼の犠牲者も増していく。味方にいれば頼りになる存在であるが、敵からすれば彼もまた立派な死の象徴、「死神」に違いないと思うのだ。