カスパル=フォン=ベルグリーズについて語りたい

このブログはファイアーエムブレム 風花雪月というゲームに登場するカスパル=フォン=ベルグリーズというキャラクターの限界オタクである一プレイヤーが、推しであるカスパル=フォン=ベルグリーズについてただ語るという、それ以上でもそれ以下でもないブログです。次第に他のことについても語るかも。

カスパルは鋭い?彼の恋愛観を探る三つの支援会話

 ファイアーエムブレムシリーズとは、古来より登場人物同士の関係性も魅力的なタイトルである。とりわけ自ユニット同士の恋愛模様は目玉といっても過言ではなく、作品によってはその子供が登場することも。風花雪月では子世代の登場こそないものの、仲間同士の関係性が掘られる支援会話がフルボイスとなり内容も非常に重厚、多くのプレイヤーをあらゆる沼に叩き落したことと思われる。後日談では結婚したことが明かされる組み合わせも多い、それはカスパルとて例外ではない。しかしカスパル、どうにも恋愛とは縁遠そうな性格をしているキャラクターである。

 そこで今回のテーマはこちら。

 

カスパルと「恋愛」について語りたい

 

 テーマの性質上、今回の記事はカスパル複数の女性キャラとのCPに触れる内容となっているので、そこんところ注意していただきたい。

 

 カスパルは明るくフレンドリーな性格で恐らく友達も多い方と推測される。紋章を持たない次男である彼に家柄目的の接触があるかは分からないが、とりあえず貴族でもある。では彼は異性から好かれるタイプの男子であるのか?

 この疑問をある程度解決してくれるイベントが、第一部終盤の女神の塔イベントである。知らない人に向けて軽く説明すると、特定の日に女神の塔で男女が二人で何かを約束すれば、女神様がそれを叶えてくれる......という噂を知った主人公が、その日に生徒の誰かと女神の塔で二人きりになるというイベントだ。

 

「昨日の夜さ、あんま仲良くない女の子に、急に話しかけられたんだよ。明日、舞踏会を抜け出して、女神の塔に行かない?って」

 

 女神の塔イベントでは、カスパルがあまり良く知らない女子から女神の塔に誘われたことを明かしてくれる。明確なモテ描写である。わざわざこの描写を入れたという事は、カスパルは異性からモテるキャラとしてデザインされているのだろうと推測できる。

 

「飯食ったり踊ったりで忙しいから興味ないっつったら、怒ってどっか行っちまうしよ」

 

 そして直後に手ひどくフラグをへし折った描写が入れられている。これでは多少モテたところでその先には繋がらない。主人公ベレスをもってして「酷い話だ」「流石にかわいそう」と同情するレベルである。女神の塔のロマンスを理解しているベレス先生は可愛い。おまけにカスパルはそのベレスの言葉を「不条理に怒られた自分に対するフォロー」と捉えてさえいる。怖い

 カスパルは女神の塔の噂を知らない、おまけに自分に向けられた好意に対して気づけない節があるということが分かる。この「自分に対する恋慕に鈍感」という特徴は、彼の支援会話でもいくつか確認できる。

 

「不束者ですが、よろしくお願いします!」

「なんだよ、その挨拶! がっはっは!」

 

 カスパル・ベルナデッタの支援A、その最終盤の台詞。この支援では「すんげえ景色」もとい素敵な夕焼けの場所がキーポイントとなっており、支援Cでひょんなことから拉致二人でその場所を訪れたことから物語は始まる。支援Bでも同じ場所を二人で訪れるのだが、そのどちらもカスパルの連れて行き方が雑だったために、支援Aでは遂にベルナデッタが怒ってしまうという展開だ。カスパル彼女の怒りの訳を理解できないし、故に言われて初めて気が付きガチ反省、「お詫びになんでもする」と口走る。それに対しベルナデッタは「もう一度、今度は優しく連れて行ってほしい」と求め、加えて「あの景色の場所へ連れて行くのは自分だけにしてほしい」と言う。カスパルその訳も理解できない。そしてカスパルはベルナデッタの生粋の引きこもりっぷりに呆れて「色んなところに、お前だけを、優しく連れて行く」と約束をするのだ。自分が言った言葉がベルナデッタにどう聞こえるのかを理解していない。結果ベルナデッタは上記の台詞を言う。その返しの台詞を見ればもうお分かりだろう、カスパルやはりその言葉の意味を理解していないのだ。お前ってやつは、ほんと......

 この後明らかにすれ違いが発生するであろうこの支援Aを経て、カスパルとベルナデッタには無事結婚する未来が用意されている。おまけに子だくさんであったことも後日談で示唆されているのだが、どうやってその未来にたどり着いたのか、ベルナデッタの苦労を思えば涙が出てくるほどである。

 

 

「あたしの部屋まで来てほしいなー。一人じゃできないこと、したいかなって......ダメ?」

「部屋? いいけど、何だ? 模様替えか? 引っ越しか?」

 

 カスパルヒルダの支援Aより、これまた終盤のやり取り。見るからにフラグをぶっ壊している。なんだこれは、鈍感系主人公ムーブか。この直後ヒルダはしっかり「やっぱり気づかないよね、ずるいなー」と苦言を零していることから、ここでのカスパルの行動によっては明らかにカップル成立であったはず。結局ヒルダは「荷物を運んでほしい」と茶を濁すような頼みごとをし、カスパルがそれを受けるという形で支援会話は終了する。ヒルダとの支援会話では、彼女の性格もあって自身の好意を匂わせるような発言を何度もカスパルにぶつけるのだが、カスパルの方は「惚れちゃいそう」という攻撃力の高い言葉も普通に流してしまっている。一方でカスパルヒルダの、咎められがちな性格を全面的に肯定し、無意識ながらもはや口説いていると言ってもいい。お前ってやつはほんと......

 

 これまでの内容から、カスパルがやはり鈍感で恋愛には興味がない、そもそも理解していないのではないかということが分かる。しかし、彼を「鈍感」の一言で片づけるには少々不都合な描写が多数あるのだ。

 例えばエーデルガルトとの支援では、彼女の表情に違和感を抱き、そのことを告げるとエーデルガルトから「鈍いように見えて妙なところで鋭い」と言われている。この「妙なところで鋭い」がまた、カスパルの本質をついているようなのである。なんなんだこの帝国陛下は、カスパルの事を完全に理解している。

 今回のタイトルに掲げた、カスパルの恋愛観を探る三つの支援会話、そのうちの一つであるベルナデッタ支援からは彼の鈍感さしか窺うことはできないが、残りの二つではエーデルガルトが言うような鋭さを正に見ることができるのだ。

 

 

「お前って、よく人にお願いしたり甘えたりするじゃねぇか。けど、オレにはしねえのは、何でかと思ってよ」

 

 これはヒルダとの支援A、さっきとは打って変わってその冒頭近くの台詞である。これに対してヒルダは「カスパルくんって意外にそういうとこ目ざとい」と話している。

 ヒルダの他の人に対する態度と自分に対する態度の違いに気づいて、それを疑問に思っている。これは普段からヒルダのことをよく見ていなければ出てこない発想である。素直に捉えるなら、彼の鋭さを描写する場面。一方でその訳には思い至っていない、「なんでだ?」で止まっている為、気づけはしても解決はできないという事を示している。

 ヒルダがカスパルに甘えない訳は、その後ヒルダが自ら話してくれている。カスパルのことを縛りたくない、という理由が一つ、もう一つは「自分がそれとなく甘えてもカスパルは気づいてくれないから」。直接頼むのではなく、少し濁して相手自らの意思で助けてもらうのがヒルダの理想なのに、カスパルはそのヒルダのサインに気づけない。だからカスパルには甘えない。しかしカスパルが、自分が他の人に甘えていたことに気づけるのを「永遠の謎」としている。

 

 

「最近気づいたんだけど、お前ってオレにだけ妙に気安くないか?」

 

 一度ヒルダから離れて、三つの支援会話の最後の一つについて触れてみよう。

 こちらはカスパル・ドロテアの支援Bの冒頭。ドロテアは自分にだけ部屋の掃除等の面倒ごとを頼んでくるし、自分には上目遣いや腕を絡めるなどのスキンシップをしてこない、と他の男子と自分の扱いの差について疑問に思いそれをぶつけている。上目遣いは身長的にも無理だろドロテアはそれに対して「意外とよく観察している」と述べている。カスパルは他にも支援Cではドロテアがいつも男と出掛けているところを見ているような発言をしているし、支援Aではドロテアが最近男と出掛けなくなったことを認識して「遂に飽きた」と述べている。なるほど確かによく観察している。

 

 ヒルダにしろ、ドロテアにしろ、カスパル自分と他人との扱いの差に気づいて疑問に思い、その理由には思い至らず本人に直接聞いている。不満に思っての詰問であるとは明確に描写されていない、彼の性格を思えばその可能性は薄くも思えるが、他者と自分との扱いの差に敏感な性質だという可能性はある。カスパル自身は人の目を気にせず自由に生きていたいタイプの人間ではあると思う。しかし前回書いたように「仲間の役にたちたい」といった願望も大きなタイプでありそうだし、貴族の次男であること、何も残らない身であることから人から必要とされたい欲は高いのかもしれない。故にヒルダが自分を頼らないことに不満を持っていてもおかしくない。ドロテアの頼み自体は支援Cの段階で快く引き受けているし、矛盾もないように思う。最も、カスパル本人にドロテアから上目遣いで見られたいだとか、腕を絡めてもらいたいといった願望があるかと聞かれると、限りなくなさそうではあるが。

 別に疑問はただの疑問、何も考えずに聞いただけ、というのが真相だとしても、それはそれでいいのである。なんなら一番カスパルらしいとも思う。推しについて色々考えるのは楽しい。はい次。

 

 

ドロテア支援の破壊力

 

 ベルナデッタ支援ではカスパルらしい鈍感さしか見えない、ヒルダ支援では意外と鋭い一面を見せつつも最後はお約束のようなフラグの折りっぷりをみせる。いずれのCPでも後日談では結婚にたどり着くものの、その過程はまるで見えない、謎に包まれたカスパルの恋愛観。その核心に一番迫ってくれるのは、やはりドロテア支援だと思う。

 上記の通りこの支援では、カスパルがやたらドロテアを観察している描写があるが、一方でカスパルからドロテアへ積極的な好意を示すような場面はない。支援Bで「私に気があるのかしら?」と冗談で聞かれても一切焦らず「はあ? それはねえよ!」と笑って返せる程度には恋愛的好意を覗かせない。その後ドロテアに「弟のようなもの」と言われたことから始まる一連のくだりはそれはそれで破壊力が凄い、必見物であるが、今回語りたいのは、やはり支援Aである。

 

「本当は......私、貴方となら結婚......」

「わあああああ! 待った! 待ってくれ! ちょっと待て! 心の準備をさせてくれ! 頼む!」

 

 やはり支援Aである。

 ドロテアが「結婚」という単語をだしてカスパルを盛大にからかうのがこの支援Aの見どころ。流石のカスパルもこの言葉には盛大に焦る。盛大に焦るのだ。なんだ心の準備って、準備が出来たらどうするつもりだったんだ。はいだったのか、はいと答えるつもりだったのか。

 結果ドロテアは「結婚とか意識せず仲良くできそう」と、冗談としてこの言葉を無かったことにしてしまうが、この時のカスパルの気の抜けたとも、がっかりしたともとれる反応が堪らん更に「そういうところから始まる二人というのもある」「ずっと互いに独り身なら、一緒に居るのも悪くない」と続けられ。嫌が応にもドロテアとの将来を考えざるを得なくなる。「俺は色恋に興味はない」と地味に本人の口から語られるのもこの支援で、そういう(ドロテアと一緒になる)こともあるかもしれない、とその可能性を認める発言までしてしまう。一方でカスパルは「ドロテアがこの先一生一人なわけがない」「今考えても仕方ない」と思考を打ち切ってしまい、そこでこの支援は終わるのだが......

 支援Bで弟扱いされて気に食わないと感じる事、頻繁に彼女とのお茶に付き合っている様子、結婚という言葉に対する反応とそれが冗談だった時の反応、いずれも絶対とは言えないがカスパルがドロテアを異性として好ましく見ている」と見れなくもない描写がなかなかに多い。その前提で考えると「ドロテアがこの先一生一人なわけがない」というカスパルの考えは、ある種の諦めのようにも思えるのだ。ドロテアはかつて自身の将来の為にと家柄のいい男性と何度もお出かけを繰り返していた、カスパルはドロテアの求める物を持っている立場ではない、そこから来る諦め......

 なんにせよ、カスパルを思いっきり恥ずかしがらせるのも、カスパルをここまで焦らせるのも、ドロテアを置いて他にできる者は少ない。ドロテア支援でしか見られないカスパルというものは非常に多い。ドロテアはある意味カスパルカップTier 1であるなんだカスパルカップってそんな二人の後日談は紅花、それ以外の2パターンいずれも結婚を名言するものではない。時折カスパルがドロテアの元を訪れ、ドロテアが歌姫の座を退いてからは二人で共に過ごしたかもしれない......恐らく、支援会話の通り一緒になるにしても若いうちの話ではなかったのだろう。賑やかな話の多いカスパルのエピローグの中で、淡さを感じさせるドロテアとの後日談はこれまた名文だと思う。

 

 

 さて、今回はベルナデッタ、ヒルダ、ドロテアの支援を中心にカスパルの恋愛観及びカスパルの鈍感さと妙な鋭さについて語ってきたが、恋愛観という意味ではどうしても外せない、外せるわけがない人物がもう一人いる。それは勿論、ベレスである。

 ベレス、もとい主人公は前回更新の「諦め」のテーマにおいても外せない人物であるのだが、前回も今回もカスパルと主人公の関係についてはほとんど触れなかった。

 次回では「諦め」「恋愛」のテーマを補足しつつ、カスパルと主人公の支援会話や関係について語りたいと思う。

 

 最後になるが、カスベル、カスヒル、カスドロ、勿論他のCPだって。そのどれも全てが尊いぞ!!