カスパル=フォン=ベルグリーズについて語りたい

このブログはファイアーエムブレム 風花雪月というゲームに登場するカスパル=フォン=ベルグリーズというキャラクターの限界オタクである一プレイヤーが、推しであるカスパル=フォン=ベルグリーズについてただ語るという、それ以上でもそれ以下でもないブログです。次第に他のことについても語るかも。

カスパル推しならアッシュもすこれ!もう一人の親友について語りたい

 風花雪月の生徒キャラクターが支援を組める相手の数は、バランスがよくなるように大体一定である。級長やその従者ポジションであるヒューベルト、ドゥドゥ―は数が少ないが、それ以外の面々は基本自学級の他の生徒全員に加えて他学級から4人程度、そしてどの学級にも属さない面々から二人ほど。キャラクターによっては更にDLCのキャラクターがそれに加わる。自軍の異性のキャラ全員に加え同性のキャラ一人と支援Aまで組むことができ、他の学級の生徒に関しては大体支援Aまで組める異性のキャラ三人と支援B止まりの同性のキャラ一人という形。フェリクスはディミトリ、シルヴァンの二人の自軍同性と支援A及びペアエンドを迎えられる、そのシルヴァンの方は少々特殊で沢山の女生徒と支援を組めるが支援Aまでいくのはごく少数など、挙げていけば少々の差異はあるのだが、大体は上記の通りだ。

 原則、支援A及びペアエンドを迎える組み合わせは大体異性同士だ。全生徒、自学級に最低一人の同性と支援Aやペアエンドを組める相手がいるが、逆に言えば他学級の同性と支援Aやペアエンドとなるコンビは本当に少ない。

 その一つがエーデルガルトとリシテア、共に紋章を二つ持つ身であり同じ背景を持つもの同士として、支援会話においてもその境遇に則した話が展開される。

 その一つがエーデルガルトとコンスタンツェ、ヌーヴェル家復興を目指すコンスタンツェにとってエーデルガルトが如何に重要な存在であったのかは想像に難くない。

 その一つがメルセデスとコンスタンツェ。二人は昔馴染みでありコンスタンツェはメルセデスを「お姉さま」と慕っている、ペアエンドが無い方が不自然である。

 

 そして、その一つがカスパルとアッシュである。

 

風花雪月の光!? ペアとしてのカスパルとアッシュについて知ってほしい!

 

 クロードとバルタザールも他学級ながらペアエンドがある同性同士の組み合わせ、上記の三例に比べ関係性は薄い二人だが一応「バルタザールの初恋がクロードの母親」という話が二人の支援の肝となっている。

 だがカスパルとアッシュはどうだ、なんにもないのだ。二人は士官学校で正真正銘初対面。支援で語られる話というのも「泥棒が出たから二人で捕まえようぜ!」「泥棒かと思ったら猫じゃねぇか!」「猫可愛いな! ガッハッハ!」くらいのもんである。雑が過ぎる

 要は、二人には因縁も関係も本当にない。全ての同性ペアエンドの中で一番関係性が弱いまである。フェルディナントとローレンツのような、似た者同士支援ですらペアエンドはないのに。外伝で一緒になるドロテアとイングリットの支援ですらペアエンドはないのに。

 しかも、だ。あろうことかカスパルとアッシュには食事会話がある。グループ課題会話もある。なんだこの厚遇。これらの会話がカスパルに用意されている相手はリンハルトとアッシュだけだ。幼馴染とアッシュだけだ

 なぜ二人の絡みが執拗に描写されているのか、私は初めに「製作スタッフの癖明らかに特定層を狙い撃って作ったものだろう」と考えた。今でも間違いだとは思っていない。顔も身長も、士官学校時代の彼らは可愛い少年系。第一印象でどちらかに惚れこんだ人はもう片方にもハマる可能性が高い

 しかしカスパルとアッシュ、彼らの事を知っていくとなるほど仲良くなるのも自然なことだと思えてくるのだ。カスパル推しならアッシュもすこれ、アッシュ推しならカスパルもすこれ。今回はカスパルにとっての「もう一人」の親友に着目して話をさせていただく。

 

 

「その盗人! オレがとっ捕まえてやる! アッシュ! お前も協力しろ!」

「はい! 二人で泥棒を捕まえて、しかるべきところに突き出さないと!」

 

 支援Cの導入、騒ぎを耳にしたカスパルにアッシュが「聞いた話によれば泥棒が出たらしい」と告げる所から始まる。とってもスピーディな導入、一切の摩擦もないので二人は普段から仲がいいことが窺える。

 しかしカスパルはアッシュの「捕まえる」という言葉に反応し(君もとっ捕まえるって言ってたよ?悪を成敗するために見つけ次第斬ることを主張。一応「修道院に盗みに入る手練れを斬らずに捕まえるのは難しい」という主張であり、(この段階では)「悪い奴だから問答無用で斬ろうぜ!」という話ではない。アッシュは「犯人にも事情があるかも......」と反論、カスパルの言っていることが理解できないといった反応を示す。

 ぶつかりあう双方の正義、過激派カスパルと穏健派アッシュの口論はエスカレートし、しかしアッシュの言葉が難しくカスパルは理解できない。「喧嘩で決めようぜ!」「それはおかしい、野蛮なこと言ってないでもっと話し合いましょう!」「そんな悠長なこと言ってる場合か!」と言いあっているうちに泥棒が捕まったという話が聴こえてちゃんちゃん♪ という話。この時カスパル悔しがり、アッシュは「捕まったんならよかったじゃないか」とカスパルを諫めている。ここに関してはアッシュが全面的に正論を言っているように見えるが、自分で身をたてないといけない立場であるカスパルが少なからず自分で手柄を立てることに拘っていることが分かるシーンでもある。

 

 アッシュもカスパル同様正義を大事にする人である。しかし彼の掲げる正義はカスパルのそれとは少しばかり違う、その対比が強調されるのがこの支援C。アッシュの正義は「許す」という側面があり、彼の正義は彼の過去に起因している。

 幼くして両親を失い、兄弟を支える長男という身であったアッシュはかつて盗みに手を染めてしまったことがあった。ある日盗みがバレてしまったアッシュは、しかし彼が盗みに入った先の主であったロナート卿によってその人生を救われる。そんな背景もあってアッシュは他者の盗みなどの悪事に際して、何よりもその理由を求めるようになったのだ。

 今のアッシュは紛れもなく良い子であるのだが、今回のカスパルの反応からするとアッシュの過去をカスパルが知った時、少々面倒なことになりそうだ。少し不穏な影を落としつつ、続く支援Bを見ると......

 

「うにゃっ!」

 

 ほのぼのだぁ!!

 第二部になって解禁される支援B、成長したカスパルはアッシュから「また泥棒が出た」と聞くと「四の五の言うのは後にして、今度こそ協力して捕まえるぞ!」とアッシュとバディを組む。素早い相手に苦戦するも、二人は見事な連携で泥棒を捕まえることに成功! その正体こそが......

 

「にゃあ」

 

 猫だった。

 猫の処遇をどうするか問われたアッシュは「君は前、見つけ次第斬ると言ってましたよね?」とカスパルに言う(意地悪やからかいで言っているのかは少々微妙な所である)。カスパルはそれに対し「今それ言うかよ、根に持つんだな」と少し口をとがらせ、「じゃあお前は早く事情を聞いてくれよ! 猫の言葉が分かるならな! ガッハッハ!」とカウンターパンチ。こちらは完全に嫌味、というか仕返しである。カスパルがこういったウィットに富んだことを言うのは非常に珍しい。ほんと、うまく言葉に表せないのだけど、私はこのセリフがハチャメチャに好きである。

 アッシュは怒ったりはせずにお互い打つ手なしで参ったな、などと言っている。そうこうしているうちにこの猫は二人から逃げてしまうのだが、二人は「次に捕まえたらどう対処するのか、もう考えてある」と告げ、どちらの方がうまくできるかの対決みたいな形になって支援Bは終わる。カスパルの方が乗り気であるため目立たないが、地味に「負けませんよ」と対決感を先に煽っているのはアッシュの方だったりするのも注目ポイントだ。

 

「ほら、こいつを食え。お! がははは、いい食いっぷりだな!」

「やれやれ。お前は食欲旺盛だね。まだおかわりがほしいの?」

 

 支援A、二人がそれぞれ例の猫に餌をあげているシーンから始まる。

 しょっぱなから破壊力の塊である。

 第二部の二人は身長も伸び、心だけでなく身の方もド強く成長、何が言いたいかと言うと超イケメンである。ああそうだ、猫が羨ましいよなぁ!

 当方カスパル推しではあるが......うーん......やはり、この冒頭の二人の餌やりの台詞は、アッシュの勝ち!!

 アッシュが「お前」なんて使うシーン他にはないんだ。アッシュカップtier1猫!

 

「やれやれ。お前は食欲旺盛だね。まだおかわりがほしいの?」

 

 堪らん!!

 このギャップが堪らんのである。分かる? 分かるよね! カスパルカスパルらしさある台詞も非常にいいけども! 「お前」と「だね」や「の?」といった言葉遣いのマリアージュが、これは、凄いテキストだ。考えた人は天才だ。そして優しい声も合わさって

そろそろ本題に戻れ

 

 お互い猫に餌をやっていることは他言していなかったようで、暫くして二人は初めて鉢合わせ、同じ結論に至っていたことを知る。

 

「何だか、僕たち似てますね」

「同じ正義を志す者どうし、根っこは同じなのかもしれねえ!」

 

 そして二人が案外似た者同士であること、同じ正義を志す者であることについて本人たちが言及する。これからは二人で猫の世話を協力することになって一件落着......

 

「ところで、カスパル。君の持っているお肉......」

「げげっ!」

 

 しかしカスパルの肉があまりに新鮮で綺麗であるために、カスパルはアッシュから肉泥棒の嫌疑をかけられてしまう下手下手なカスパルの口笛が愛おしいカスパルはわざとらしくアッシュの用意した飯へと話をそらすが、強い正義感を持つアッシュは全く逃がしてくれない。カスパルもまさか盗んだわけではなかったが、「厨房のおっちゃんと喧嘩して、勝ったからもらった」という真相はやはりアッシュにとっては信じられないもの。カスパルの言い分は「喧嘩はあっちが売ってきた。オレは猫の為に肉を賭けさせた」。これがそのまま通るかは微妙なところであったが、何より猫が肉を喜んでいるためアッシュは、今日のところは不問にするのだった。

 

「ふふ、可愛いですね」

 

 アッシュ、猫にしっかり心を奪われている。

 

 一応支援のテーマは「正義」だったりするのだろうか、しかし支援B以降はなんというか、急激に話が緩くなる。Aまで掘ってもここまで「ほのぼの」「可愛い」しかない支援会話もそうはない。一歩歩けば暗い話にぶつかる風花雪月においてこの支援会話は貴重な癒し要素の一つだろう。まずシンプルに猫の声が可愛い。うーん、やっぱりこの二人関係のスタッフ、ちょっと趣味が過ぎる。素晴らしい、もっとやれ。

 

 

支援会話以外でも二人は......

 

 先述の通り、二人は支援会話以外でも食事やグループ課題で専用会話が用意されている。一方でここまでしているのに戦闘会話はない。ここが興味深いポイントであり、スタッフはカスパルとアッシュをとにかく「光のコンビ」として描きたかったのではないだろうか。例えばアッシュの盗みの過去はカスパルとアッシュの正義の対比をもっと深く描くのにもってこいだったはずだ。しかしカスパルとアッシュの支援ではシリアスな要素を可能な限り削ぎ落しているカスパルとアッシュに関してはただ明るく、仲の良さだけを強調しよう、そう決定したスタッフの心意気を私は大いに支持したい

 支援以外の各種会話では、全体的に一部では押せ押せのカスパルに若干押され気味のアッシュ、二部ではアッシュの方がむしろ強気で場合によってはカスパルが若干押され模様、といった描き方で統一されている。支援会話でもアッシュがカスパルに強気に迫る支援Aは印象的であり、アッシュの成長を随所に感じさせる作りになっている。

 

「僕とカスパルが力を合わせれば、怖いものなしです!」

 

 二部のグループ課題パーフェクト時のアッシュの台詞である。彼らが如何にベストパートナーであるか、それを本人たちも自覚している様子がここに表れている。

 

 

結局どこが似ているの?

 

 カスパルとリンハルトが正反対の幼馴染として描写されているのに対し、カスパルとアッシュは「似た者同士の友達」として描かれている。一見反対だが細かいところで似ているのがカスパルとリンハルト、割と似たところがあるが細かいところで違うのがカスパルとアッシュという対比である。

 具体的には「正義感の強い所」「明るくフレンドリー、人懐っこさのあるところ」「背格好」「嘘が嫌い」「よく食べるところ」などなど。ついでに年齢も同じ。特に食事量に関しては五年後になってから、「意外とお前もよく食べるよな」とカスパルから言及されている。こんな所にもカスパルの妙な鋭さが表れている。

 二人が仲良くなった、そのそもそものエピソードは本編中には描写されていないが、これまであげた二人の特徴を思えば出会って短時間で意気投合するのも不思議ではない。二人の後日談ではカスパル、リンハルトのそれと同様二人で旅に出るのだが、その目的は「世直し」とされている。ここでも「事件に首を突っ込み大騒ぎに発展させるカスパル」と「何事も穏やかに事を収めようとするアッシュ」と記され、同時に「正義を信じる者同士、将来相棒であった」とも書かれている。

 カスパルとアッシュの関係性自体は支援Cから支援Aに至るまで、きっと後日談に至るまで、一切変化が無いカスパル・リンハルトのそれ以上に変化が無いように見える。暗い問題にあまり深く切り込まない、そんな二人の支援もまた、他のペアにはない良さがあると、私は思っている。