カスパル=フォン=ベルグリーズについて語りたい

このブログはファイアーエムブレム 風花雪月というゲームに登場するカスパル=フォン=ベルグリーズというキャラクターの限界オタクである一プレイヤーが、推しであるカスパル=フォン=ベルグリーズについてただ語るという、それ以上でもそれ以下でもないブログです。次第に他のことについても語るかも。

カスドロ支援を知ると二人のことがもっと好きになる!!

 アドラステア帝国は貴族の牛耳る国、黒鷲の学級に所属する生徒の貴族比率は他の学級と比べても一番高い。名有りの八人の中でも、ペトラがブリギットの王女であることを考えれば貴族でないのはドロテアだけということになる。ミッテルフランク歌劇団の歌姫であったドロテアは、自分の将来の為に士官学校で家柄のいい、まともな貴族の結婚相手を探している一方で過去の経験から貴族に対する嫌悪感の様な物も抱いている

 彼女の支援相手の男性生徒はユーリスを除いて全員貴族であり、特にフェルディナント、シルヴァン、ローレンツといった面々との支援では「ドロテアが、自分が嫌いな貴族と関わるうちに彼らに対する誤解を正していく」という内容になっている。ユーリスとの支援を見るに、彼女は貴族の男子相手であれば目上の存在でなくても敬語を交えた話し方をする。支援A辺りになると敬語が随分抜けることから、彼女の使う敬語は「警戒、敵意」といった意味合いを持つことが分かる。

 しかし彼女はカスパル相手には支援Cから基本ため口である。

 ドロテアがカスパルに対してとる態度は他の貴族の男子にとるそれとは随分違う、ついでに相手の性質もあってユーリスに対するそれともまた異なる。そんな彼女にからかわれて、カスパルもまた他では見られない姿を見せてくれる。

 今回のテーマはズバリ!

 

もっと掘りたい! カスドロ支援!

 

 以前も少し触ったカスパルとドロテアの支援であるが、今回は支援Cから支援Aまでじっくり見て、この支援のある意味での異質さを語っていきたい。

 

 

「私のやっていることが貴方の訓練と同じだって言いたいの?」

そうだよ、なんか、おかしいか?」

 

 前述の通り、支援Cからドロテアはカスパル随分と親しく話しかけている。彼女の頼みをうけカスパルがドロテアの部屋の掃除を手伝う場面から始まる。フェリクス支援Aではお茶に誘った流れで「私の部屋でもいいわよ」とドロテアが彼を自室に誘うのだが、フェリクスは「調子に乗るな」と断ってしまう。しかしカスパルは彼女の部屋に入ることになんの躊躇いもない支援Cだよ?

 寮なのにここまで掃除しなくても、と零すカスパルに「寮だからこそ他の人が使ってもいいように綺麗にしなくては」と真っ当な説教をするドロテア、「ここが終わったらあなたの部屋も一緒に掃除しましょうか」という提案にはカスパルも流石に渋い顔(理由は「訓練する時間がなくなるから」)。ふっつうに部屋行き来できる仲なんですかね......。

 しかしここでドロテアは自分にもこの後予定があったのだと思い出す。それは「顔も家柄もそこそこの相手」とのお出かけ。カスパルはほっとしながらも「いつも男と出掛けてよく飽きないな」と聞くと、ドロテアは「飽きるけども将来の為だから仕方がない」と返す。それを受けてカスパル自分の訓練とドロテアの婚活を同じものだと解釈するのだ。

 自分は貴族でも次男だから武勲を得ないと将来何にもなれない、だから戦場で活躍できるよう毎日欠かさず訓練する。ドロテアは平民だし財産もないから将来の為にいい相手を探す、そこに何の違いもない。こちらは先日の「友達いねえ」とは打って変わり、カスパル全台詞の中でもトップクラスの名台詞だと思う。少し顔をしかめたくなるようなドロテアの行動にもすぐさま理解を示し、心から応援することができる。それにしたってその表現の仕方が「お前誰だ!」って言いたくなるほどに巧みだ。カスパルの訓練癖は誰もが認める彼の美徳だ、それと同じだと言われたのならドロテアも気を良くするに決まっている。ドロテアは案外人の目や陰口を気にしてしまうタイプでもあるので、純粋なカスパルの言葉には救われるのかもしれない。

 最後は「お互いに将来の為に頑張ろう」と励ましあって支援Cは終わる。

 

 

「お前ってオレにだけ妙に気安くないか?」

「気安いって? 普通に仲良い友達じゃない」

 

 カスパルとドロテアが普通に仲良しの友達であることが明かされる支援B。地味に友達であると明言される関係性は珍しい

 こちらも以前言及したが、ドロテア支援のカスパルに見られる特徴として「妙に目敏い」という事が挙げられる。支援Bではカスパルがドロテアの他の男子に対する態度(上目使いや腕を絡める)と自分に対する態度(掃除などの頼み事)の差に違和感を抱き、その疑問を直接彼女にぶつけるのだ。ドロテアにも「意外にもよく観察してるのね。もしかして......私に気があるのかしら?」とからかわれ言われている(それに対するカスパルの返答は「はあ? それはねえよ!」。地味に「気がある」という言葉の意味を理解しているのにも驚きである)。

 その後ドロテアはカスパルの疑問に「弟みたいなものだからかしら」と自分でも考え、一応の答えを出す。カスパルは「弟かよ......ちょっと気に食わねえな......」と微妙な反応を示すが、ここから支援Bの風向きが変わる。

 

「ふふっ、何だか口に出してみたら、本当の弟みたいに思えてきたわ

「ねえ、試しにお姉ちゃんって呼んでみてくれるかしら

 

 風向きが変わる。

 ドロテアがカスパルにお姉ちゃん呼びを要求、普段はなんでもドンとこいのカスパルこれは流石に恥ずかしい。「一回だけでいい」「もう面倒なことは頼まない」とゴリ押しで遂にカスパルから「......お姉ちゃん」呼びを勝ち取る。この時のカメラワークがまた素晴らしい。ドアップ「お姉ちゃん」カスパルは世のお姉さま方必見である。羞恥に悶えるカスパルに「ふふっ。よくできたわね、カスパルくん。とっても可愛かったわよ」と追い打ちをかける徹底ぶりで、スタッフ陣の癖が全開になっているシーンの一つ。

 カスパルは「可愛くねえよ! くそっ! ......いつかお前にもお兄ちゃんって呼ばせてやる!」と逆襲を誓うが......

 

「あら、そのくらいいつでもいいわよ。ね、カスパルお兄ちゃん

お兄ちゃん、どうしたの?

「ちくしょう、覚えてろよーっ!!」

 

 完敗である。

 カスパル、ドロテア双方のお兄ちゃん、お姉ちゃん呼びの演技も光る、ある意味で名支援の一つ。カスパルは随分メンタルをやられてそうだったが、この後に続く支援Aでも特に後遺症は見られない。彼のことだから一日寝て忘れたんじゃないかな?

 

 支援Aの話をする前に......この「弟みたいな存在」というのはからかうための方便ではなく、例えば黒鷲の学級を選んだ直後のイベントでは担任が主人公であったことに「担任ってあんたなのか!?」と驚くカスパルをドロテアが「そんな言葉遣いでは失礼じゃない?」と諫めている。ジェラルトの弔い合戦となる10章では敵陣の付近で大声を出すカスパルをドロテアが諫めるシーンがあり、「やんちゃな弟としっかり者のお姉ちゃん」みたいなシーンはちょくちょく描かれている。ちゃんとこれらのシーンでもドロテアはカスパルにため口である。

 

 

「本当は、私、貴方となら結婚......

わあああああ! 待った! 待ってくれ! ちょっと待て! 心の準備をさせてくれ! 頼む!」

 

 支援Aはドロテアがカスパルをお茶に誘うところから始まる。カスパルの反応からし二人で席を共にする機会は多いものだと思われる。「訓練があるから少しだけ」と言われたドロテアは「本当に飽きないわねえ」と零すのだが、これにカスパルは「お前はとうとう飽きたみてえだけどな」と指摘するのだ。この言い回しがどことなく知的でカッコイイ

 支援CやBでもカスパルドロテアのことをよく観察していたことは描写されていたが、この支援Aでは「お前が誰かと遊びに行くの、もうめっきり見てねえ気がする」とドロテア本人も言われて初めて気づくような変化にまで気づいているのだ。「誰かと遊びに行った」ということは見れば一発で分かる、しかし「行動を取っていない」ということに気づくのはなかなかに難しい。カスパル、ドロテアのことに気かけすぎじゃない!?

 言われて気づかされ、確かに否定できないドロテア。その訳を「......何だか、居心地がよくて」と話してみせる。するとカスパルは、「大修道院のか? 5年前と比べたらボロボロじゃねえか」。ハァ~~......。これにはドロテアも「乙女心が分からないわね」と不満気。カスパルは開き直って「悪かったな。どうせオレには理解できねえよ!」と返している(ひどい時は「は? なんだよそれ」とか「乙女ってなんだよ」とか言いそうなのでこの返しは全然マシな方だと思う)。ドロテアはやっぱり呆れて......

 

「だから、私の気持ちにも気づかないのよね」

「は?」

 

 流れ変わったな!!

 

「貴方と一緒にいるとね、ずっと自然な自分でいられるの」

演技もせず、媚びも売らず、嘘もつかず......本当の自分を取り戻せるみたいな」

 

 告白の流れだな!!!

 突然エンジンがかかったように走り出すドロテア(ここで語る「演技もせず、媚びも売らず、嘘もつかず、本当の自分を取り戻せる」というのは、ある種で「結婚」という形で幸せを掴む際の人間の本質のようにも思えるいい言葉だと思う)。終いに「結婚」の言葉も口に出してくるのでカスパル流石に焦って「心の準備をさせてくれ!」と懇願する。心の準備が出来たらどうなるの? プロポーズ受けるつもりなの? なんにせよ他ではそうそう見られない大慌てのカスパル、きっと思う存分堪能しただろうドロテアは「勘違いしないで」「結婚とか意識せずに仲良くできそうと言いたかったの」と告げた。この時のカスパル「え......? お、おう、そうか」って反応が絶妙なんですよね、どういう心情なんだろ。残念とか、恥ずかしいとか、そういう色合いが絶妙に見えない、結構大胆なドッキリの種明かしにしてはあっさりとした反応、思えばベレスとの支援Sで結婚を切り出されたカスパル直後はだいぶ淡白な反応してたし、人間ほんとに驚いたときはこういう物って感じなんだろうか。

 ドロテアは一発のオチでは満足せず「そういうところから結ばれる二人っていうのも案外あるのよね」と更にカスパルを乱す。カスパルは「オレをからかってんだろ!」と流石にこの辺りで気づくのだが、よくよく見てみるとドロテアはカスパルからかったことを否定しているのだ。

 

「からかってなんかないわよ。ふと思っただけ」

「これから先、互いにいい相手が見つからなかったら......ずっと一緒にいるというのも、悪くはないかもしれないって」

 

 この支援のドロテアがどこまでカスパルとの未来を本気で考えたのかは分からないが、この「ずっと一緒にいるというのも悪くはない」という表現がかなりエモくて私は好きだ。のちに触れる後日談でも二人の場合「結婚」の言葉は名言されていなくて、しかし一緒にいたことは示唆されている。淡くて美しくて、ほんといい

 カスパルは「オレは色ごとに興味ないからそういうこと(相手がいないということ)もあるかもしれない」「でもお前がこの先、相手が見つからないことなんてないだろ」と告げるのだが、これにドロテアが「どうかしらね」と返すのもまた、「本心ではカスパルとの未来を望んでるんじゃないかな......」って感じがして非常にいい。カスパルの「お前が一人はあり得ない」っていうのもなんだろうな、ドロテアが男漁りをやめたと知っている後での発言だから、「男共がお前をほおっておくわけがない」「お前は魅力的だ」って意味で言ってるのかな! 考えすぎ!?

 最後は「今から気にしても仕方ない」「お前と仲良くするのは歓迎」と結論付け、「将来の為に一緒に頑張ろう」と支援Cの最後をなぞる形で支援Aは終わりを迎える

 最後のかけあいが「将来のために頑張ろう」「互いにいい結果になるといいね」となるこの支援CとA、Cではドロテア→カスパルの順番だったのがAではカスパル→ドロテアと変化している。また支援Cではドロテアが「それぞれ頑張りましょ?」なのに対しAのカスパルは「一緒に頑張ろうぜ」になっている。支援Aのドロテアの最後が何か含みを持たせた言い方に聞こえるのもあり、CとAの対比で非常に味わい深いのもこの支援の魅力。

 

 総じてこの支援では、

・他の貴族男子に対する態度とは随分違うドロテアの姿

・思いっきり恥ずかしがり、盛大に焦るカスパルの姿

・他のどの支援よりもカスパルの恋愛観、色事に(これでも)深く切り込んだ内容

 ......といったこの支援のみで見られる貴重な要素が盛りだくさんである。暗い背景を持ち、どうしたって支援ではそういった所に触れられることが多いドロテアの支援ではトップクラスに終始明るい支援でもあり(特にBがコメディに終始しているのが大きい)、いきなり、というよりかはカスパルとドロテアのことをある程度分かってきた人に見てもらいたい名支援だ。

 切り込んだといってもカスパル支援はやはりカスパルが惚れた腫れたを明確に見せることはない。しかしこの支援のカスパルは「カスパルがドロテアに(少なくとも支援Aの段階で)惚れている(結婚を切り出されて受ける程度には入れ込んでいる)」という前提で見ればより美味しく思える要素がいっぱいである。

 いつもは相手を振り回しがちなカスパルがドロテアに振り回されることに終始する支援であることもあってか、この支援においてカスパルは台詞頭、文末に「......」と、三点リーダーを多用する。熟考の他にためらい、恥じらい、残念といった感情を表現するのにも使われる三点リーダー、この支援ではカスパル「がっかり」といった感情に使われているようにも思われる。特に注目したいのがドロテアに「お前がこの先、相手が見つからないなんてことはねえだろ......」と、この台詞の文末に使われていることである。

 以前にも記したが、カスパルは元より自分がドロテアの伴侶相手として適さない身であることを理解している。カスパルは例え彼がドロテアへの恋心を自認したとしても諦めて身を引いてしまうのだと思う。ドロテアの「互いにいい相手がいなかったら一緒になるのもいい」という台詞は、(カスパルがそうしそうなように)そのまま受け取れば「それまでにいい相手(家柄や容姿、性格等自分のお眼鏡に適った相手)が表れたらカスパルとは一緒はならない」ということでもあるので、カスパル叶わない未来を期待したくないのだ。言わば予防線を張るような台詞なわけである。

 ドロテアはドロテアで、本気でカスパルに惚れているのならはぐらかさずに直接言ってしまったって良かった。それをしないのはまだ本来の目的の「いい相手」を割り切れないからか......しかし男漁りをやめている以上そうとも思えない。今の恋人ですらない、何も意識しない二人というのが本当に心地いいから......というのもなくはないだろうが、一方でやはりちょっとは意識してほしい乙女心もあってカスパルの心を乱しにかかったのかもしれない。私が一番「それだ!」と思っている理由は、きっと「色恋が分からない」カスパルのことを待ちたいからじゃないか、というものである。

 カスパルは訓練に飽きず五年前から変わらない。しかしドロテアは男漁りをやめた。カスパルの影響で起きた変化を当の本人に指摘された。これがきっと二人の在り方なのだ。複数の後日談で「愛する人に尽くす」側面を強調されるドロテアはきっと、特定の相手の為に変わりやすい存在。一方でカスパルは生き方を曲げることが無い。故に二人の恋はカスパルの告白から始まらなければならないのだ。カスパルの心にはドロテアの「互いに良い相手が見つからなかったら」という言葉が残る。いつか、カスパル彼のまま恋を覚えた時に自分の元に帰ってきてくれたらそれでいい、そうなればいい。それがドロテアの答えなのだろう。

 

 

二人の関係は後日談までも唯一無二

 

 帝国覇道ルートではカスパルは軍務卿となり、それ以外ではカスパルは放浪の旅に出る。そのどちらでもドロテアは彼の道に付き従うことはなく、ただ彼の帰る場所として在り続ける。ドロテアにも「ミッテルフランク歌劇団の再建」という目的があり、双方が為すべきことを為した上で互いにとって大切な存在であり続ける、というエピローグはとても味わい深いものである。義務のような理由があるわけでもないのに、カスパルがドロテアの家を訪れる、その事実がとても尊い

 二人が命尽きるまで共に過ごしたことを示す証が何もない、というのはドロテアが表舞台から姿を消したことに基づく設定なのだろうが、こういった落ち着いた後日談はカスパルが絡むものでは珍しいので、二人はどこまでも特別だと思うのだ。