カスパル=フォン=ベルグリーズについて語りたい

このブログはファイアーエムブレム 風花雪月というゲームに登場するカスパル=フォン=ベルグリーズというキャラクターの限界オタクである一プレイヤーが、推しであるカスパル=フォン=ベルグリーズについてただ語るという、それ以上でもそれ以下でもないブログです。次第に他のことについても語るかも。

語られし存在、カスパルにとってのベルグリーズ卿を妄想りたい

 風花雪月には魅力的なキャラクターが多数存在する。生徒を中心としたプレイアブルとして使用できるユニット以外にも、闇に蠢く者などの敵ユニット、ジェラルトやロドリグなどのNPC、フェルディナントの父であるエーギル公は戦場でユニットとして登場することはないがプレイヤーに強烈な印象を残しただろう。

 同様にプレイヤーに大きな印象を残しながら、しかしビジュアルが用意されていないキャラクター、本人自体は登場しないキャラクターもいる。その代表格がヒルダの兄であるホルスト卿と、カスパルの父であるベルグリーズ卿だろう。ホルスト卿もそれはそれはアクが強い人物で、バルタザールの登場でその人物像が更に掘られるなど要注目の存在ではあるが、今回語るのは以前から数度と名前が出ていたベルグリーズ卿についてだ。

 テーマを挙げるならズバリこう!

 

カスパルにとってのベルグリーズ卿を妄想かたりたい

 

 いかんせんベルグリーズ卿は本編に登場しないキャラクター、何を語ってもそれは全て妄想......とまで言うと言いすぎだが、とにもかくにも今回は今まで以上の妄想語りである。カスパルにとって間違いなく大きな存在であるベルグリーズ卿に焦点を当てて、今日も推しの人物像を解き明かしていこう。

 

 

 風花雪月の生徒の多くは、何かしら彼らの家族に触れたエピソードが本編中で語られている。特に青獅子の学級では、イングリットとドゥドゥ―を除く生徒全員の、家族の誰かしらがプレイヤーにも顔を見せている。それ故に彼らの背景も見えやすいのだが、全員が家族関係に何かしらの問題を抱えていることが明かされている。

 家出した父を追ってガルグ=マクにやってきたアネットなんかはこれでもまだマシな方で、シルヴァンは紋章が原因で兄弟仲に亀裂が生じ(なんて言い方では生易しすぎて適切ではないが)本編中に実際に相まみえることになり、メルセデスの義理の父はろくでもない人間だったのだろう、義理の弟(父から見た実子)のエミールがブチ切れて最終的に義父はエミールに殺されている。グレンの死は彼の弟であるフェリクス、許嫁であったイングリットに大きく影を落としているし、両者共それ以降親とはうまくいっていないようである。家族との不和が描かれていないメンバーの場合は基本的に家族に死者が出ている。ドゥドゥ―は家族どころかダスカーという地単位で見ても数少ない生き残りであり、アッシュは幼くして実の両親を亡くし、暫くして尊敬する義兄を亡くし、本編中に恩人であるロナート卿を亡くすなど散々である。ほんと良く良い子に育ったね......

 視野を広げてみると、他の学級でも、そもそも生徒たちの多くが家族に暗い陰を持っていることが描写されている。兄弟を皆失ったエーデルガルト、父から虐待を受けたベルナデッタ、天涯孤独のドロテア、事故で親を失っているラファエル......そんな中でカスパル家族関係で暗い要素をほとんど見せない珍しいキャラクターなのだ。誰よりも家族仲が良好といっても過言ではないのかもしれない。そう私が言う訳は、前回述べた通りカスパルが父を敬愛している描写が多いからである。

 カスパルは彼の死亡時の台詞にも表れているように、戦場での自分の死さえも厭わず、自分を殺す相手を許してしまうような人物。それを大らかだとか心が広いと称していいものか多少の疑問は残るものの、そうでなくとも軍務卿の息子である彼は戦争の無常さや戦いで犠牲がでることを重々理解している。しかしペトラとの支援で彼は「俺が逆の立場だったら絶対許せない」としきりに主張するのだ。私はこれがなかなか呑み込めなかった。実際に事が起こった時、彼は「仕方がない」と受け入れるタイプの様に思えたから。しかしカスパルが許せないと語る訳は、それほどに「父が自分にとって大切な存在である」からだと認識している。自身が超えるべき壁である父が他の者によって討たれる、という事実を受け入れられないという側面もあるのかもしれない。

 

「親父みてえな強さが、欲しいぜ......」

 

 実際にカスパルが家族を、父を失うことが明確に描写されるのは、金鹿及び黒鷲の教会ルートを選んだ際の散策会話。エーデルガルトを主人公らが討ったあと、ベルグリーズ卿が帝国の全将兵の責を一身に背負って首を差し出したと彼の口、およびドロテアから語られる。カスパルが大聖堂に姿を見せるのは金鹿のこの時のみ。以前は「父と戦いたくないのは家族の絆とかは関係ない」と語っていた彼もやはり悲しみを見せる、とても印象的な一幕。「覚悟はしていた」「クソ強い最期、親父にしかできない喧嘩」と彼らしい言葉で父の死を語りながら、「オレ、強くなれてんのかな?」と弱音を吐いてしまう強くなってるよぉぉぉぉぉと抱きしめてやりたい

 

フォドラで一二を争うその実力

 

「君の父親相手に勝てる人なんて、フォドラ中探しても少ないよ」(byリンハルト。カスパルとの支援Cより)

 

 熊を素手で倒すだとか、魔物の方がまだマシだとか、とにかくその実力の高さを作中の人物の言葉によって示されているベルグリーズ卿。でも背はリンハルトの父さんより低いらしいよ上記の通り彼が亡くなる理由は「部下達を庇うため、自ら命を差し出す」というものであり、本編中で彼が敗戦する場面はない。青獅子ルートでは、終盤の散策会話で「親父のいるところだけは負けてねえ」とカスパルが語っており、実際に戦場で顔を合わせなくてよかった、というのは他人事では全くない。彼からは「エーデルガルトとは仲が悪いと思ってた」と言われるも、実際は彼女の側について皇位継承の助けにもなっている。黒鷲、覇道ルートではデアドラを落とした後の同盟の事後処理を任されており、帝国陣容においても信頼を置かれている様が分かる。ダグザ・ブリギット戦役を抑えた将も彼。カスパルは指揮が苦手であるが、父の方は個人としても、一将としても優秀な人物であったのだろう。

 彼がエーデルガルトについて侵攻を良しとした理由は何か。彼がカスパルの特性を更に強調した大人であったとするならば、より強い敵との戦いや過去に類を見ない困難な挑戦を求めていたからかもしれない。若くも皇帝としての素質と途方もない野心を抱えたエーデルガルトの人となりを気に入っていた、というのもあるかもしれない。なんにせよあのカスパルの父なのだから、冷静に、政局を鑑みて......といった理由ではないと思ってしまう、そういうのはリンハルトの父の立ち位置だ。

 

 

父としてのベルグリーズ卿

 

 カスパルが紋章を持たない次男という立場でも腐らずに気持ちのいい正確に育ったのは、親の教育のおかげでもあると私は思っているのだ。とりわけ父の存在はカスパルにとって大きい、今までは「敵わない存在」「あまりに大きすぎる、カスパルにとっての重し」としてベルグリーズ卿を見てきたが、勿論彼の存在がカスパルにプラスに作用したこともまた、沢山あるだろう。

 家を継ぐことが(物語の開始時点で)決まっているカスパルの兄はエーデルガルト曰く「努力もせず、強欲で、ろくでもない人物」であるという。ほんと正直な奴だなそんな兄を持ちながらカスパルは知っての通りの努力家で、なおかつ彼は兄とも仲がいいらしい(少なくとも、兄を引きずり降ろして家の継承権を得たいだとかは微塵も思っていない、兄に何か悪いことが起こるのは嫌だとまで言う)、自力で道を切り開く心構えといい、彼の長所はきっとベルグリーズ卿がカスパルを気にかけ、強く生きていけるように教えたからなのだろう。時には自らの強さをもって、背中をもってカスパルに道を示したのかもしれない。ベルグリーズ卿の領地であるメリセウス要塞は幼き日のカスパルにとっての遊び場であったという、忙しい身でありながらも子供ともよく遊ぶ「いい父」であったのかもしれない。(その割にはろくでもない兄が育ってんぞ! と思わなくもないが、兄のそういった側面にも理由はあると描写されているので、まあ、仕方ないね!)

 ベルグリーズ家とヘヴリング家の付き合いがカスパルとリンハルトの交友のきっかけであるが、ベルグリーズ卿とヘヴリング卿の仲は非常に悪いという。とはいえ本気の不仲であれば流石に息子たちもそう親密にはならないだろう、喧嘩一つない息子たちと違って言い合いばっかりではあるがこちらも腐れ縁の仲だったのだろうと推測する。こっちはこっちでなんだか美味しそうだよねヘヴリング卿もベルグリーズ卿と同様にエーデルガルトにつく立場であり、軍務と財務を同時に抑えたことで皇位継承もスムーズに行われた、二人の間でも何らかの口合わせがあったのかもしれない。

 

 

 もしカスパルベルグリーズ卿と相対していたら、子供の頃のカスパルベルグリーズ卿の会話など、まだ見ぬ彼について思いを馳せ色々と妄想することがある。だが結局我々はベルグリーズ卿の口調一つ分からない。折角これほどに存在感のあるキャラクターが存在するのだから、今後何らかの形で表に出てきてほしいと願うばかりだ。

 

おまけ・・・リンハルトと家族

 

 カスパルは終盤、しかもルート限定とはいえ親を失う展開が用意されている。よくよく考えればなおのこと家族に問題を抱えていない存在がいるのではないか?

 金鹿のヒルダやイグナーツはまぁ......家族の問題とか、そういう側面が薄い方ではある。彼らと並んで目に見える問題が無さそうな黒鷲の生徒と言えば、そう、リンハルト

 特に不自由なく士官学校までやってきて、ストーリーが完結するまでヘヴリング卿含む親族が亡くなった描写も一切ない。ヘヴリング卿は一応「息子を強引に訓練に付き合わせようとしたベルグリーズ卿に激怒する」程度には息子思いである描写も。

 しかし、そんな親を持ちながらリンハルトはというと......

 

「僕は金目のものを家からくすねてきました」

 

 お前さぁ。

 上記は黒鷲、銀雪ルート序盤でのリンハルトの台詞、勿論彼は家と対立しているので理に適った行動ではあるが、なんとも彼のマイペースさが際立つ台詞である。

 恵まれた(他の面子を考えたらそう言っていいと思う)境遇にありながら、そもそもリンハルトは家族に対する情だとかが一切なさそうである。ほんと、そういう事柄で悩んでるのマジで見たことが無い、なんなんだお前。勿論それを薄情だとか言うつもりはない

 リンハルトはカスパルとは違い紋章を持ち、家を継ぐ立場でもあるキャラクターである。しかし、彼の性格を思えばそういった「恵まれた境遇」は寧ろでしかない。政治を嫌い、義務を嫌うリンハルトは貴族の責務、領主としての仕事などまっぴらごめんである。ソロでの後日談からして継承権を放棄する、一部でロストした場合は帝国を出奔して姿を消す。そんな彼からすれば寧ろ何もないカスパルの方が羨ましいくらいで、立場からくる家族の期待などは煩わしいだけだっただろう。

 シンプルに軍務卿と仲が悪い父にも辟易としていたようであるし、彼にも父や家族に対して悪感情を抱く理由はしっかりとあるのだ。尤もリンハルトの場合家族に善も悪もない無感情でも平気で唾を吐きつける真似をしそうなのが怖くもある。